大野雅子
東京都杉並生まれ杉並育ちの美容師。 実家の美容院で髪を切ったり、 出張で出かけてヘアメイクをしたりしている。 |
(2008年6月 仙川「ロイヤルホスト」にて)
美容師以外の選択肢
(清水宣晶:) おまさの、美容師っていう仕事は、人と話しをすることが多い仕事だよね。
話しをするためにさ、たとえば、
新聞をちゃんと読んでおかなきゃ、とかって考える?
(大野雅子:) それが、全然思わないんだよね(笑)。
わからないことがあったら、聞けばいいから。
それさえも、話題になっちゃうじゃない?
やっぱり、読むよりも、
人の話しから吸収することが多いんだ?
そうだね。
「それは何でですか?」とか、すぐ聞けるし。
読むよりも、会話派。
この仕事選んだ時ってさ、髪を切るということよりも、
人と話せるからってのは、理由としてあった?
うん。
おおの、接客業なら何でもいいって思ってたから。
髪の毛切るほうが、どっちかっていったら「ない」感じ。
ゴメンね、人の髪切りながらこんなこと言って(笑)。
ぶはははは!
いつぐらいで、美容師も「あり」だって思ったの?
高校生で、次の進路を決める時。
私、とにかく、しゃべれる仕事がいい、って思ってたの。
授業中も、しゃべってばっかりで、先生によく怒られてたから。
学校で友達と会いに行くのは好きだけど、勉強は嫌いだったし、
また学校に進学はないでしょう、と思って。
で、、美容師もいいんだけど、ツアコンもいいなって。
えぇ!?
美容師は何歳になっても出来そうだけど、
ツアコンは年齢的に、OLっぽい仕事じゃない。
だからツアコンを先にやってみよう、って思って、
ツアコンの専門学校に行ったの。
ちょっと!
おまさ、ツアコンの学校に行ってたの?
ありえないでしょ(笑)。
今言ってて気づいたけど、ヤバいね、私。
何も考えてないのよ。
いや、まあ、
ツアコンも楽しそうとは思うけど。
タダで旅行に行けて、しゃべってる仕事だし、
もともと会社に行くっていうイメージなかったから、
これはいいって思ってたんだけど、実際に学校行ってみたら、
「これ、会社じゃん」と思って。
うんうん。
旅行業といってもやっぱり、会社だよね(笑)。
これは向いてないなって、入ってすぐ思ったんだよね。
方向音痴だから地理も苦手だったし、
「私、なんでここ来ちゃったの?」って。
学校の友達が面白すぎたから、結局2年間通ったけど。
そうか。
その後に、美容師の学校に行ったんだ?
うん、その時は、
学校に行くのは一年で良かったから、一年間だけ。
美容師の道で行くかな、って思ったのはつい最近だけどね。
他にはどういう選択肢を考えてたの?
幼稚園の先生とか、飲食店とかもやってみたいって思った。
OLも、いっぺんやってみたいとも思ったし。
OLもやってみたいと思うんだ?
ほんと、結構なんでもありな人だな。
そうなの。
だから、あんまり美容師っていう職業に憧れとかはなかった。
それは、美容師としては珍しいパターンかもなあ。
一人の時間が必要ない
おまさは、人見知りをすることってある?私は、「はじめまして」の時が一番得意。
はじめましてが得意っていいねえ!
初対面て楽じゃん。
話すこともたくさんあるし。
私、しゃべるの好きで最初にババーッて話しをするから、
「相手にとっても、楽でしょ」って思う。
それは大きな長所だなあ。
ほんと、この仕事には向いてるね。
人と一緒にいるのが好きなの。
一人になる時間がないとダメだ、
っていうことが別にないのね。
そうなんだ!?
オレは、一人になる時間がほしいタイプだから、
そういうのスゴいと思うよ。
うん、そういう人がいるってことは知ってるんだけど、
私はそうじゃなくて。
人様がいても、自分の好きなことやっちゃうし。
じゃ、共同生活とかも全然大丈夫?
超向いてると思う。
どっちかっていったら、一人暮らしのほうが想像できない。
なにか考え事とかする時に、気が散ったりしないの?
そもそも、あんまり考えることがない。
悩むような時って、自分以外の誰かとの関わりから起こることが多いからさ。
そういう時に私が勝手に考えても、相手の行動によって崩れちゃうから。
てことは、私だけで考えても意味ない。てことで。
おお・・なるほどなあ!
人がどうするかなんてわかるわけないのに、
勝手に想像して空回りしちゃうことってあるよね。
自分のこと考える時はどうするの?
「これからどう生きるべきか」とか。
(低い声で)何も考えない。
ぶはははは!
さっぱりしてるなあ。
「どうにかなるだろう」と思ってるんだね。
私、わりと何でもすぐに決めちゃうから。
一人で考えなくても、人と話しながらでも考えられるしね。
そういわれてみれば、そうかもね。
それも一つの極意な気がするよ。
健康的な体質
おまさの髪とか肌がそんなにキレイなのはさ、何か特別なことをやってるの?
特別なことは何もやってないんだけど、
栄養のバランスを気をつけている。
食べ物とか?
そう。
肌って、中からが8割なんだって。
あと、睡眠をなるべく早めにとるようにする、とか。
新陳代謝を良くする、とか。
化粧品でなんとかするっていうのがあんまり好きじゃなくて。
すごい高い化粧品を使ってても、ダメな時はダメじゃない。
なるほどなあ。
すごい正統派だけど、そうは言っても普通、
なかなか実践できないけどね。
「早く寝る」とかさ。
いつもじゃないけれど。
夜の10時から2時までの間に最低30分寝れるといいんだって。
だから勉強とかする時も、その時間に先に寝ちゃって、
朝の3時に起きたりする。
ああ、
ちゃんとそういうのも守ってるんだね。
なるべくね。
もともと、あんまり寝なくていい人なんだよね。
人様と比べて、睡眠が少なくても平気だと思う。
普段、どのぐらい寝るの?
8時間も寝たら、寝すぎで身体が痛くなっちゃうの。
7時間だと、次の日が早く寝れなくて。
6時間でちょうどいい感じ。
ホント!?
それで大丈夫なの?
6時間寝られれば、一日の途中で眠くならないね。
それは、なんだか得だね。
明石家さんまみたいだな。
そうそう。
明石家さんまがテレビでそう言ってるの聞いた時、
「私と超似てる!」と思った。
似てると思った!?
あの人も、寝る瞬間までしゃべってるんでしょ?
私も、みんなでいる時に、
寝る瞬間までずっとしゃべってるんだけど、
眠いと思ったら突然寝る。
(笑)すごい寝つきの良さだな。
健康的だなあ。
寝つきもいいけど、
目覚めも超いい、と思う。
自分が目覚めがいいから、
朝が苦手な人の気持ちがわからなくて、
そういう人を起こすのが苦手。
わかるよ、それ。
オレも人を起こすのは、いやだなあ。
起こしてもらっておいて、寝起きで機嫌が悪い人とかって、
「なんだよ!?」って思うよ。
そう、なんか知らないけど怒られるじゃん。
おまさは、寝る時に、
周りに人がいても気にならないの?
あんまり気にならないね。
寝てる時にも私、動かないみたいだし、
周りに迷惑をかけることもないと思う。
すごいな、なんか。
睡眠のプロフェッショナルだな。
睡眠はほんとね、深いし、短いし。
完璧だよ、それ。
友達に、
「睡眠時間があんまり少ないと、ぽっくり死んじゃうよ」とか言われたんだけど、
ぽっくり死ぬほうがいいじゃん!って思うし。
(笑)そうだよな!
いや、ほんとそう思うよ。
んー、ということは・・デメリットなし、だな。
(2008年6月 仙川「ロイヤルホスト」にて)
【清水宣晶からの紹介】
おまさは、健康的なエネルギーを持った人だ。
いつも、明るい笑顔を絶やすことがない。
髪を切るためというよりも、人と話すために美容師をはじめたというおまさは、とても自然に相手の中に入りこんでいってしまう。
その時に、まったく押しつけがましさや、居心地の悪さを感じないのは、彼女が常に相手の反応をきちんと確かめながら話しをしているからだ。
ぐいぐいと所構わず押し入ってくる、おばちゃんノリではない。関西ノリやラテンノリとも根本的に違う。
おまさノリとでもいうべき、この心地いいテンポは、人から話しを聞くことで学んでいく彼女に与えられた、天性の才能なのだと思う。(2008年6月)
今回、おまさの出産の時期に話しを聞かせてもらう機会があり、母になる直前と直後の気持ちをリアルタイムに聞かせてもらった。
出産という一大イベントを目前にしても、おまさの様子は普段と変わらず、直後には、その体験談をいつものように面白おかしく話してくれたけれど、その内面には大きな変化があったような気がする。
これまで、何者にも染められることのないマイペースを貫いてきた彼女が、娘が生まれたことで、初めて変えられていくのかもしれない。
この先、その時々の話しを聞きながら、おまさの変化を知るのが、髪を切ってもらう時の楽しみになるだろうと思う。(2014年8月)
おまさは、健康的なエネルギーを持った人だ。
いつも、明るい笑顔を絶やすことがない。
髪を切るためというよりも、人と話すために美容師をはじめたというおまさは、とても自然に相手の中に入りこんでいってしまう。
その時に、まったく押しつけがましさや、居心地の悪さを感じないのは、彼女が常に相手の反応をきちんと確かめながら話しをしているからだ。
ぐいぐいと所構わず押し入ってくる、おばちゃんノリではない。関西ノリやラテンノリとも根本的に違う。
おまさノリとでもいうべき、この心地いいテンポは、人から話しを聞くことで学んでいく彼女に与えられた、天性の才能なのだと思う。(2008年6月)
今回、おまさの出産の時期に話しを聞かせてもらう機会があり、母になる直前と直後の気持ちをリアルタイムに聞かせてもらった。
出産という一大イベントを目前にしても、おまさの様子は普段と変わらず、直後には、その体験談をいつものように面白おかしく話してくれたけれど、その内面には大きな変化があったような気がする。
これまで、何者にも染められることのないマイペースを貫いてきた彼女が、娘が生まれたことで、初めて変えられていくのかもしれない。
この先、その時々の話しを聞きながら、おまさの変化を知るのが、髪を切ってもらう時の楽しみになるだろうと思う。(2014年8月)