マツダミヒロ

やる気を引き出す質問、
自分の潜在能力を引き出す質問、
組織力を高める質問など、 「質問」の専門家。

東北芸術工科大学卒業後、研究生を経て独立。
後輩と共に設立しデザイン活動をはじめる。
インターネットを活用した企画制作コンサルティングなどを事業を展開。
現在はコーチングやカウンセリングを中心として、
全国で企業や経営者向けの研修、
個人セッションを行っている。
毎日2万人が読む「魔法の質問」を主宰。
(2010年11月 恵比寿にて)

まず、とにかくやってみる

(清水宣晶:) ミヒロさん、
最初に会った頃(2001年)にやってたのって、
web制作の仕事だったでしょう?

(マツダミヒロ:) そう、web制作の、
ディレクションとか、プランニングとか。

今、そっちの仕事はやってないの?

今は、まったくやってない。
2003年ぐらいから、コンサルティングをやったり、
コーチングをしたり、インキュベーションルームを作ったり、
自分のやりたいと思ってたことをやってみようと思って。

なんか、色んなことをやってるよね。
mixiとかtwitterみたいなツールも、何でも活用するし。

思いついたことは、
まず、とにかくやってみる、っていう。
で、ダメだったものはしょうがない。

その考えはいいなあ。
自分で会社を作ってるのも、
やりたいことを、すぐに実行したいからなの?

ゼロから作り上げるっていうことに、
喜びを感じてるからだろうね。

出来上がったら飽きちゃう?

そう、だいたい飽きちゃう(笑)
形が出来上がった後は、
他の人にお願いします、ってなったりすることが多いな~。

完全に、0から1の部分を作る、
起業家タイプだね。

自分に問いかける質問

ミヒロさんが質問を考える時ってさ、
思いつくきっかけとしては、何が一番多い?

移動中に感じたことだったり、
あとはやっぱり、人との会話が多いかな。

ふうちゃん(ミヒロさんの娘)から
気づくことってすごくありそうだね。

ものすごいある。
それが、ほぼすべてと言ってもいいぐらい。
師匠だから。

(笑)師匠!
質問てのは、ある程度まとめて考えたものを、
毎日少しずつ出していっている感じなの?

24時間以内にあった気づき、学び、自分へのメッセージ、
を文章にまとめて質問にする、ってことをしてる。

あ、直近にあった出来事から
出てきた質問をみんなに投げかけてるんだね。

みんなというよりも、自分に対してね。
自分に問いかけている質問を、他の人とも共有している
っていうスタンスで。

ミヒロさんが誰かに
インタビューをするような機会ってのは、結構あるの?

それは、あんまりないの。

「魔法の質問」自体が、
他の誰かに対してじゃなくて、
自分に問いかけるものだものね。
一人になってじっくり考えるっていうのは好き?

一人になるのが好きというよりも、
人と話をするのが苦手。

そうなの!?

出来れば、あんまり構わないでっ!
みたいな(笑)。

それ、かなり意外だよ!

質問されたりするのはいいんだけど、
こっちから会話を創るっていうのは苦手だね。

「マツダさん、魔法の質問してくださいよ」とか
言われることあるだろうね。

そうそう、
それ、あるのよ。

講演会の時ってどうなの?

講演をする時のコンセプトは、
「いかにしゃべらないか」なんだよね。
一番しゃべらずに済む方法を
いっつも考えてる。

(笑)でも、
講演会自体がキライってわけじゃないんでしょ?

そう。
なんだけど、こっちから
「思いを伝えたい」みたいのは、あまりない。

わかるわあ。
オレも、どうぞ好きにしゃべってください、
って言われるのが一番困る。

そうそう。
だから、挨拶を頼まれても10秒ぐらいで終わっちゃう。
それぞれの人の中に既に答えはあるから、
僕の思いを伝えるってよりは、
答えを引き出すきっかけを作りたい。

そうか。
「魔法の質問」って、会話で何を言うか、
っていうことではないんだね。

そういう本も出してはいるんだけど、

『初めての人とでもスムーズに話せる質問力』っていう、
その本の、一番最初に書いてあるテクニックが、
「話さない」だから。

ぶははははは!
それ、どういうことなの?
相手に話してもらうってこと?

そうそう。
「話そうと思わない」。
会話自体が上手く出来ればいいんだから、
話す割合は、どうでもいいわけだよね。

そうか。
「なにか話さなきゃ」って意識になると、
なんか不自然な雰囲気になっちゃうし。

そう、天気の話しをしようか、
新聞の話しをしようか、って焦っちゃうから。
「話さなくてもいいんだ」っていう前提で臨んだほうが、
リラックス出来て、結果として会話がスムーズに進むよね。

スケジュールの立て方

講演の時なんかも、
何を話そう、ってのはあんまり考えないの?

あんまり決めないで、
流れを見て、どうやっていこうか、
って考えながら進めていく感じ。

先の予定とかスケジュールも、
あんまりはっきりとは決めない?

それは、おおまかには決めるかな。
今、来年のスケジュールを決めてるところなんだけど、
何月何日にこれやったら楽しいかな、って考えたり。

それ、自分のやりたいことを、
まず書き出していくの?

僕がよくする質問は、
「あなたにとって一番大切な人は誰ですか?」って質問で、
みんなたいてい、両親とか奥さんとか子ども、とか答えるんだけど、
でも実は、あなたにとって一番大切な人は「あなた」のはずで。

なるほど!

質問を変えて、
小学生の子どもたちに
「あなたの人生は誰のものですか?」って聞くと、
みんな「僕のもの」って答えるんだけど、
要はそういうことだと思うんだよね。

そうだよね。
言われてみれば、ほんとそうだ。

それを考えた時に、アポの優先順位が、
お客さんだったり、友達とか家族になっているかもしれないけど、
一番優先にするべきは自分自身とのアポなんだよね。
まず、それを軸にして、スケジュール表に書き出す、と。
何か仕事の依頼があった時、
「ああ、そこは先約があるからゴメン」って言ってもいいし、
「先約があるんだけど、そっち断るわ」でもいいし。

それいいなあ。
最初に自分軸のプランがあると、
流されていつの間にか自分の時間がなくなってた、
ってことがなくなる気がする。

これは最近やり始めたことで。
ここ2年ぐらいは、講演の依頼があるのはありがたいんだけど、
それに合わせてると、
他人軸でのスケジュールしか組めなかったんだよね。

これは、いいこと聞いた。
オレも来年のスケジュール、そのやり方で作ってみよう。

やると、かなり楽しいよ。

伝えるコミュニケーション

ミヒロさんて、
言いにくいことであっても、すごく率直に、
相手に伝えるコミュニケーションをしてる印象があるな。

うん、
特に最近は、そうするようにしてる。

オレはそれ、苦手なんだよ。
ぶつかった時に、いかに家族とか仲いい友達であっても、
これを言ったら取り返しがつかない、ってことがあるような気がして。

それは、言ったほうがいいね。

あ!そう!?

取り返しはつかなくないはず、なんだよね。
自分の場合だと、たとえば、
娘から何を言われても、娘を愛する自信はあるし。
そういう気持ちがベースにあったら、何でも言ってもらったほうがいいって思う。

言ってもどうしようもないことってのもない?

それでも、やっぱり言ったほうがいいね。
「諦め」って、自分に嘘をついて生きていくことになると思っていて。
たとえ変わらなくても、伝えたほうがいいな、と。
色んな考えがあっていいと思うけど、
僕の場合は、そのほうが後悔が少なくなるって考えてる。
(2010年11月 恵比寿にて)

清水宣晶からの紹介】
「雰囲気がある」というのは、ミヒロさんのような人のことを言うのだと思う。それはおそらく、彼が世間の常識や一般論などまったく気にせずに、自分の頭で何でもゼロから考えようとする姿勢を持っているところから醸しだされる雰囲気である感じがする。
ビジョナリストであるという以上に実行家で、色々なことを思いつくというだけではなく、それをすぐに具体的な形にする、びっくりするぐらいのフットワークの軽さを持っている。

僕が好きなのは、ミヒロさんがエイプリルフールに毎年発信する、未来を先取りした日記だ。その壮大なフィクションを読むと、とてもワクワクして、自分も楽しく大きな空想をしたくなる。
それは、ミヒロさんが言葉の力というものを心の底から信じていて、それが人の心に与える影響の大きさを知り尽くしているからこそ作り出せる、希望にあふれた物語だからなのだと思う。

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