豊田陽介

| 2020年6月長野県佐久穂町にIターンし「カレー屋ヒゲめがね」を開業。家族とゆったりと暮らすべく、営業は週3ランチのみ。 人生100年時代における生き方の1事例として発信できるよう、日々奮闘中。 https://lifeshiftjapan.jp/interview/6833/ |
(2024年2月 長野県佐久穂町にて)
佐久穂町ならできるかもね
(清水宣晶:) これはもう何回も、豊田さんに話してることですけど、
僕が長野に移住してきた最初のきっかけは、
元をたどっていくと、
豊田さんの体験記を読んだことなんです。
.jpg)
(豊田陽介:) ありがとうございます。
そのころ僕、移住先として、
日本全国のいろんなところを検討していて。
『そろそろ本気で信州移住』の本を読んだ時に、
豊田さんのやってることや、
この、佐久穂町周辺の地域のことを知って。
そこからです。
いや、そんな人が本当にいるんですね。
最初に出版の企画を聞いたときに、
「この本を読んだことをきっかけに、
実際に移住をする人も出てくるだろうから、
すごく意義のある本になると思います」
みたいな感じの言われ方をして。
まさに、そうですよ!
豊田さんの体験記を読んでなかったら、
僕は今、長野にいないと思います。
.jpg)
不思議なもんですね。
なんとなくぼんやり生きてるだけなんですけど、
そうやって誰かの人生を変えるきっかけになってるんだとすれば、
それは、大変ありがたい話です。
移住する前に、佐久穂町を見に来て、
「ヒゲめがね」にも立ち寄ったんですけど、
驚いたのは、この人口の少ない町で、
お店の前に行列ができてるということで。
はいはいはい。
うん、そうなんです、
できちゃったんですよね。
豊田さんの、これまでの流れを見ていると、
なんというか、出来すぎなぐらいに、
色々な出来事が噛み合ってるなと思って。
佐久穂町に移住した人って、
大日向小学校に通うために来た人が多いと思うんですけど、
知った順番が、逆なんですよね?
そうそう。
大日向の「お」の字も知らない状態で佐久穂町に来て、
その後に大日向を知った、っていう順番でした。
もともと、豊田さん一家が佐久穂町に来たのは、
愛子さん(奥さま)のお知り合いの関係でしたっけ?
そうです。
育休中に、自然豊かなとこで暮らしてみたいね、
って言ってた時、たまたま、
妻の友達が佐久穂町にいたんです。
それもまた、
面白い縁だなあ。
.jpg)
自分たちの希望としては、
子どもたちが虫を追いかけられる環境や自然があって、
妻が農業をちょっとやってみたいってイメージで。
1か月ぐらいの短期で住める場所、
みたいなフラグを立てて探してたんですけど。
その友達が「佐久穂町ならできるかもね」
って言ってくれたので、
佐久穂の移住促進担当の方に、
「1ヶ月ほど住んでみたいんですけど、
可能性ありますか?」って問い合わせたら、
すごく前向きにサポートしてくれて。
ほうほうほう。
妻が「農業やってみたい」
って言ってたことが幸いして、
そういうことであれば、
新規就農支援制度が使えるから、
町が持ってる長屋みたいなところを、
1ヶ月間貸してあげます、って。
足らない家具とかも、
職員の人たちがみんなで声かけあって、
余ってる洗濯機や電子レンジを運び入れてくれて。
手ぶらで来れたっていう。
.jpg)
そこまで手厚かったっていうのは、
その頃はまだ、移住してくる人が
そんなに多くなかったからですかね。
農業やりたくて佐久穂町に移住してくる方は
以前からぼちぼち居たと思うので
新規就農者の移住支援は実績があったんだと思います。
愛子さんが農業に興味があったことで、
町としても支援がしやすかったんでしょうね。
本当に、それも超ラッキーで。
最初から狙ってたわけじゃなかったんですけど。
豊田さんの開業の経緯を知ると、
タイミングがいろいろ完璧すぎるんですよ。
育休の時期も、佐久穂町に来たタイミングも。
.jpg)
よくできた話ですよね。
これもまた、タイミングの話ですけど、
大日向小に決めて、移住した最初の1年目は、
僕はまだ都内に通勤してたから、
ここじゃなくて、佐久平に住んでて。
当時、会社を辞めるつもりは微塵もなかったんで、
そこのアパートで普通に暮らしていくかな、
と思っていたんですね。
その時はまだ、
独立なんて考えてなかった。
そうですそうです。
でもそれで、二拠点生活みたいに、
都内まで通って働くようになったら、
やっぱり無理があって、体を壊して。
そこまでして都内で働く意味ってなんだろうね、
って考えて、会社を辞めることを決めて。
こっちで職を探そうと思ったけど、
僕、営業畑の人間だったから、
リモートで何かできるようなスキルがあるとか、
そういうことでもないので。
「営業職だと、不動産会社の営業マンとかかー、
ううん、なんかピンとこんなあ!」って。
それも、いけそうな気がしますけど、
今の豊田さんからは想像つかないですね。
.jpg)
会社員だと結局、その会社の都合で、
ずっと残業とか休日出勤とか、
そういうのがやっぱりついてまわるんで。
せっかく、ハウス食品を辞めるんだったら、
自分で時間がコントロールできる生活がしたい。
そうなると、やっぱり「手に職」でしょう。
何ならできるかっていったら、たまたまカレーは作れる。
「じゃあ、カレー屋やってみるか?」みたいな。
そういうノリで。
そう、なんとなくのノリで言ってたら、
一回、試しに作って売ってみたら、って、
『Mikko Doughnuts cafe』の塚原さんが、
テスト販売の機会をくれたんです。
なんと!
本当にカレーを売ることになったんですね。
とはいえ、何を作ればいいか。
考えてたときに、僕が通いつめていた、
日吉の『ハイ、ハウ アー ユー』っていう
大好きなカレー屋さんのオーナーさんに、
うちのレシピを使ってもいいよ、
っていうお許しをいただいて。
足りないピースが、
どんどん埋まっていくなあ。
それで実際、手ごたえも感じて、
「いやあ、じゃあなんか、
いい物件が見つかったらやっちゃおうかなー。」
って言ってたら、不動産屋が、
「ここの物件、空きましたよ」
「あ・・空いてますか!?」
.jpg)
ぶはははは!
ほんと、引きの強さがすごい。
けど、豊田さんのケースを見てると、
再現性あるんだろうか、とは思うんですよね。
いや、そうですねえ!
他の人がIターン起業をしようとした時に、
豊田さんみたいにうまくピースがはまるんだろうか、って。
全部がこんなうまくはいかないでしょうね。
部分部分で、使えるピースを拾ってもらう、
っていうことにしかならないとは思うんです。
でもそれも、振り返ってみれば、ですけどね。
その場その場では、結構やっぱり、
痺れるような意思決定はしているので。
うんうんうん。
.jpg)
1年間育休取る意思決定をした時は痺れましたし、
1ヶ月短期移住してどっかに住んでみるかってのも、
日常からはちょっとハミ出した話だし。
拠点を長野に移そう、そこから東京に通ってみよう、
みたいなことも痺れましたし。
実際にそれやり始めたら、無理をしすぎて、
体壊して、文字通り痺れましたし。
(笑)ほんと、
結構、チャレンジの連続ですよね。
それまでサラリーマンとして一生懸命やってきて、
起業家でもなんでもなくて、
自分で稼がなきゃいけないっていう環境は、
もちろん経験がなかったので。
会社員を辞めて、独立するっていう意思決定は、
結構痺れる決断をしたとは思うんですけど。
まあ、それにしても不思議なご縁が続くなあ。
ライフスタイルを売っている
でも豊田さん、縁とかタイミングに恵まれたのも間違いないですけど、
やっぱり、マーケティング的なことが、
すごく上手だなと思っていて。
.jpg)
ありがとうございます。
発信の仕方もそうだし、
「元ハウス食品のスパイスマスターが作るカレー」
みたいな、人目をひくコピーも多いし。
だから、お店が賑わってるのも、
なるべくして、なってる気はするんです。
やっぱりそれは、会社員時代の経験からなんですか。
そうですね、おそらくは。
会社員時代は、やっぱり仕事が結構好きで。
よう働いてたし、
まあ、勉強もしてましたし。
うん。
そこで身につけた基礎的な筋力があったからこそ、
いざ自分でやるっていう時に、勘が働くというか。
会社時代で培ったことっていうのが、
結果的には全部血肉になって、活かされてる。
だから、無駄になってないですよね。
もともと料理人とか、飲食関係で働いた後に、
独立してお店を開くってパターンは多いと思うんですけど。
はいはい。
多いですね。
.jpg)
豊田さんは経歴が全然違って、
飲食経験ゼロのとこからやってますけど、
過去の資産が受け継がれてないわけじゃなくて、
すごく、ビジネスマンとしての経験とか、
スキルを活かしてるなって気がするんです。
それが多分、ウチのユニークさで。
料理系統から出てないということは、
僕自身のコンプレックスでもあるんですけどね。
あ、そう思うことありますか?
「スパイスカフェ」っていう、
押上にある有名なお店に、
伊藤さんというカレーの神様みたいな人がいて。
この前、マルカフェさんが、
その伊藤さんをお呼びして、
1ヶ月近く佐久に住みながら
地場の食材を使って料理を提供する、
ポップアップイベントをやってたんです。
はい。
僕からすると、もう、
「はぁー、すっげえー、あの伊藤さんが!?」
って感じで。
マルカフェの零さんから、
「伊藤さんがイベントやるから、
お手伝いできるならお願いしたいです」って言われて、
「ぜひ!」って、お手伝いに行ったんですけど。
なんせ僕、料理ができない。
.jpg)
うんうん。
お手伝いと言われても、なんもできなかったんですよね。
伊藤さんからすれば、僕も一応、
カレー屋をやってるっていうのは知ってくれていて。
「じゃあ豊田さん、この材料を切っといて」って言われるんだけど、
切れないんですよ。
ああ!
普通はどうやるのかがわからない。
そう。
「ニンジンの千切り、これぐらいの厚さでやっといて」
って言われるんですけど、
「できません。」って言うと、
「え!?」って。
ぶはははは!
「すいません。僕、いつも、
千切りの道具使ってやっちゃうんで、包丁使わないっす。」
「ああ・・そう。」って。
それ、料理人の人からしたら、
ビックリするんだろうなあ・・。
.jpg)
「え、、カレー屋やってんだよね?」
「あ、やってます」
「あ、ああ・・そう。」
みたいなやりとりがあったあと、
ニンジンの切り方をゼロから教わるというね。
すごい。
だから、なんかね、
料理人の集まりに行くと、浮くんですよ。
彼らは、調理のことはやっぱり大好きで。
例えばニンジンにしても、厚さや幅によって、
油とかの吸い込み方が変わるし、
塩加減を1ミリグラム単位で変えていく、みたいなことを、
彼らはキャーキャー言いながらやってるんですけど。
僕は、あんまそこ、興味がなくて。
もちろん、美味しいものを作れたらいいなと思うんですけど、
どちらかというと、偶然でも、
なんとなく美味しいものができたらオッケーなタイプというか。
僕自身は、ライフスタイルを売ってる感覚なんですよね。
うん。
カレー屋を営むことを通じて、
生き方を表現している、というのは伝わります。
調理人として料理を突き詰める人たちと、
ライフスタイルとしてこういう生き方もあるよね、
を突き詰めたい自分は、やっぱり会話が合わないかも、
というのを、すっごいその場で感じたんだよなあ。
憧れの伊藤さんの前で、
ニンジンも切れなかった僕。シュン・・・。
.jpg)
(笑)そんな切ない思い出があったんですね。
まあ、でも、考えようによっちゃ、
そういう風に料理をすごい一生懸命やられてきたからこそ、
跳ねて、第一人者になった伊藤さんがいる。
それと同じところで戦ったって、
僕は全然、料理のことを知らないからしょうがない。
わかっちゃいたけど、僕はそっちじゃないんだよな、って。
自分の中で割り切ることができた。
やっぱりライフスタイルっていうところで、
自分自身が楽しいと思うことを追求していけば、
誰かに面白がってもらえるから、
自分が目指すのはそこだな!と。
引っかかりポイントを作る
でも、僕から見たら、飲食未経験から始めたとは思えないぐらいに、
ヒゲめがねのカレーって、すごく本格的ですけどね。
.jpg)
ありがとうございます。
それも、ラッキーパンチで、
ウチの看板メニューのパキスタンカレーは、
『ハイ、ハウ アー ユー』のレシピをもらったんです。
そうなんですか!
直伝のパキスタンカレー。
それはスゴいなあ。
僕自身、ハウス食品にいて、
仕事柄いろんなカレーを食べ歩いてたんですけど、
その中で一番美味しいと思ったカレーが、
あのお店のパキスタンカレーだったんです。
その、本当に唯一無二の、
超美味しいレシピが一本持てていた。
それさえあれば、ある程度のお客さんは来てくれるんじゃないかな、
って思えたからこそ、
カレー屋を始められたっていうのもあるんです。
鉄板の看板メニューを持ててる安心感は、
かなりでかいですね。
.jpg)
まあ、それはそれとして、ありつつ。
それ以外のメニューもノリで作ったら、
わりかし美味しくできちゃった、ってのもあります。
結構たくさん、新種の気まぐれカレーを試して、
ヒット作を生み出してますよね。
一応、月ごとにメニューを変えてたりするので。
それは別に、どこかのお店のレシピでは全くないし、
自分でも不思議でしょうがないですけど。
そこはもう、才能とかセンスがあった
・・っていう話なのかもしれないです。
いや、そういうことですよね!
料理人のキャリアを積み重ねた経験でわかるんじゃなくて、
感覚でわかってるという。
素人だからこそのノリで、
エイ、ヤー、トウってやってハマるっていうのは
あるのかもしれないですね。
ラッキーパンチが続いています。
ぶはははは!
ラッキーパンチのコンボが。
.jpg)
とはいえ、世の中にレシピっていっぱい落ちてて。
そこの本棚にも並んでるような、
カレーのレシピ本だって、たくさんあるわけですよ。
だから、ゼロから作る必要はなくて、
まずは、レシピの通りに作ってみて、
あとは自分の好きな味、好きなスパイスを足し引きして、
アレンジしていくと、別にそんな困らないという。
でも、レシピ本を出してくれてる人たちは、
それこそもう、ずっと料理と向き合って、
突き詰めて、これがベストだっていうレシピなんで、
まずいわけがないというか。
そうか。
スーパー料理人が書いたレシピを、
忠実に再現するスキルがあるってことですね。
そうそうそう。
再現はできるし、そのまんま出したって、
もちろん全然オッケーなんですけど。
まあそれじゃあ、なんか面白くないなっていうんで、
お客さんの引っかかりポイントをどこで作るかは、
やっぱり意識はしていて。
引っかかりポイント?
たとえば、ポークビンダルーを作るとき、
レシピに「梅酒に漬け込みましょう」って書いてあったら、
全然、梅酒でいいと思うんですよ。
うん。
全然、梅酒でいい。
.jpg)
だけど、ウチは、
黒糖梅酒で漬けてるんですよね。
面白い!
梅酒に漬け込んだ、っていうのでも、
それはそれで、「ほー」なんですけど。
「黒糖梅酒」っていうと、なんで黒糖なんだろう?
あ、だからちょっと風味が甘くなるのね、みたいな。
そういう引っかかりを作っていく。
なるほど!
スゴいなあ・・。
黒糖梅酒で作っても美味しかったなら、
黒糖を使った方が、情報としてはプラスなので、
お客さんの引っかかりポイントが1個増える。
食べる時って、舌でも味わいますけど、
半分は情報でも味わうじゃないですか。
わかります。
酸味を付けるにしても、レシピには、
「タマリンド」って書いてあったりするんです。
インドでよくある、酸味のある、
梅干しみたいなやつですね。
素直にタマリンド使えばええんですけど、
タマリンドって言われても、イメージ湧かないでしょう。
.jpg)
それは、まったくイメージ湧かない。
知ってる人は知ってる、っていう食材よりは、
「梅干し」なら、みんなイメージ湧くじゃないですか。
梅干しの酸味なのねって、情報が頭で符合すると、
また、人に語りたくもなるというか。
ほんとだ。
それは絶対、梅干しのほうが語りたくなる。
その感覚っていうのは、
やっぱり、会社員の営業マンのときに、
同じバーモントカレーでも、どういう売り方なら
得意先に興味を持ってもらえるかって考えていたので。
すごいなあ。
そこで、営業の経験が活きてるんですね。
会社員の経験も、営業の経験も活きてる。
ものの伝え方のポイントみたいなところは、
すごい活かされてるし、
基本的な経費や売上を見つつ改善していく、
っていうのも、もう、なんつうんすかね、
息を吸うようにEXCELを叩くみたいな感じで。
(笑)EXCEL使った計算とかは、料理人一筋っていう人は、
あんまりやらないでしょうね。
.jpg)
そこは本当に、
ただの会社員が始めたレストランだからこその、
オリジナル性かもしれないです。
年明けに「ヒゲめがね」のインスタでやってた、
「気まぐれカレー」の人気ランキングも、
きっちり数字を出してますもんね。
カレーの種類ごとに、注文数とか、
ちゃんと細かく把握してるんだなと思って。
そうですそうです。
なんでも数字を取り溜めて、
データベース作って、っていう。
ピボットテープルが趣味ですからね。
それはニヤニヤしながらやれてしまうんですよね。
(笑)ピボットテーブル見てニヤニヤする料理人、
いないと思いますよ。
逆に僕は、食材見てもニヤニヤしないというか。
伊藤さんのようなシェフの皆さんは
新しい食材を見つけたら、
「どう調理してやろうか!」
ってニヤニヤすると思いますけど。
ご縁サーファー
豊田さんは、お店をやっている中で、料理を作ることと、来てくれる人と話すことと、
どっちの方がウェイトが高いです?
.jpg)
いやー、面白い質問ですね。
うーん・・・どっちも高くないです。
どっちも高くない!
その答えは予想外でした。
なんか、料理作ることは、楽しい時もあれば、
3年もやってるとルーティンになってしまう部分もあって、
そろそろ飽きが来ているというのも正直なところで。
空いた時間で、なにか違うことやりたいなって思ったり。
わかるなあ。
新しい刺激がほしくなるんですね。
で、お客さんとしゃべるのも、
楽しいは楽しいんですけど。
わりかし、僕自身が人見知りで。
もちろん、接客業としての、
居心地のいい食体験をしてもらえるための、
柔らかな接客、みたいなのは、
苦もなくやるんですけど。
もともと営業マンだし。
でも、本当に心を開いて会話を楽しんでるかっていうと、
そういう感じの性格じゃなくて。
言うたら、よそいきというか。
みなさまを迎え入れて、喜んで帰ってもらえれば、
それで別にオッケー、っていう感じなんですよね。
それはもう、店やるやらない関係なしに、
僕自身の性格なんですけど。
うん。
.jpg)
なんでしょうね、
お店でカレー食べてもらってるっていう
コミュニケーションが、時間としては、
ウェイトが大きいは大きいんですけど。
それ以外のところで、 空いてる時間に、
違った形で人と接点を作っていったり、
人と人が交わるきっかけ作りをするのは、
好きなんですよね。
自分があげたトスによって、違う人生が流れ始めるとか、
自分が開いたワークショップがきっかけになって、
新しいお店ができたりとか。
そういう風な関わり方ができるのがすごく楽しい。
「100人カレー」のワークショップのことを、
豊田さんは「恩送り」って言ってましたけど、
そういう、循環を作るイメージなのかな。
そう、自分自身がほんと、
不思議なご縁の波に乗っかってここまで来たっていうのもあって。
今度は自分が、そのご縁の波を作る側というか。
僕は自分で自分のことを、
「ご縁サーファー」って呼んでるんですけど。
ほうほう!
.jpg)
目の前に来た、面白そうなご縁に乗っかっていく。
それが人生を楽しむ本当のコツだと思っていて。
そういう波に乗っかったからこそ、
僕は今ここにいて、ハッピーになれてるんですけど、
それは、誰かが起こしてくれたご縁の波なんですよ。
自分自身もそういう、ご縁の波を起こせる人でいたいなと。
「恩送り」っていうのは、そういうことですね。
僕と豊田さんも一緒に聞いたことがある、
僧侶の松波龍源さんの話の中にあった、
「余剰を与えることが豊かさ」っていうのに近い気がします。
それで思い出したんですけど、
このカレー屋の名前を決めるとき、
「ヒゲめがね」以外に、いくつか候補があって。
その一つが、僕が豊田だから、
カレー屋「豊か田(ゆたかだ)」なんていいんじゃないかと。
カレーを食べた人に、
「はあー、豊かだー!」って言って帰ってもらいたい。
ぶはははは!
思わずつぶやきが漏れてしまうカレー。
そういう案もあったんですけど。
妻に大反対されて。
そのネーミングは、
いかがなものかと。
そうそう。
なにが「豊かだー」だと。
「ヒゲめがね」は、妻推しだったんですよ。
そうだったんですか!
奥さんの発案だったんですね。
ネーミングはね。
それは、でも、
愛子さんのセンスが加わって、
よかった気がします。
.jpg)
そうそう。
「あのとき『豊か田』にしないでよかったね」
とは言ってますけど。
でも、なにが豊かさか、っていうのは、
すごく興味がありますね。
よく聞かれる質問で、
将来どうなりたいかって聞かれるんですけど、
「特にないです」って思っていて。
そのときに来た波に乗っていくだけ。
そうそうそう。
で、目の前に来た波を楽しんでたら、
なんか違う世界が開けていくっていうのは、
肌感覚として理解してるので。
もちろん、「これやりたいな」ていうのがはっきりあれば、
そこから逆算して人生設計するっていうのはあると思うんですけど。
今のところは、目の前で起きる波に乗っていく、っていう。
そして、自分が乗るだけじゃなく、
そういう波をバーッって起こす、
トスを上げられる人であればいいなあと思っていて。
清水さんが、僕の記事を読んで、
波に乗っかって、気づいたらこっちに来た、っていうように、
違う誰かの人生にプラスの影響を与えていける
ことがあるかもしれない。
あると思いますよ。
僕自身がそうだったし、
これからも、豊田さんの起こした波に
乗る人が現れると思います。
.jpg)
そういう意味では、自分を通して、
ユニークな価値の提供ができてるといいですね。
カレーだけじゃなくて、自分自身のライフスタイルを売る、
っていうのはたぶん、そういうことだと思うんですけど。
こういう生き方もあるよね、っていう波で、
みんながパチャパチャ遊んでくれるといいなあ、
って思ってます。
(2024年2月 長野県佐久穂町にて)
【清水宣晶からの紹介】
僕がまだ横浜に住んでいて、この先どこに住もうかとあれこれ考えていた頃。
そのときに巡り合った一冊の本で、僕は豊田さん一家のことを知りました。
小さな子どもが3人居ながら、勤めていた会社を辞めて、Iターン移住でカレー屋を始めた豊田さん。
その暮らし方について読み進めるうちに、僕は、イエナプラン教育をおこなう日本初の小学校である大日向小学校のことや、自然豊かな佐久穂町のことを知りました。
実際に佐久穂町を見に行き、カレー屋「ヒゲめがね」の前に行った時の光景に、僕は驚きました。
この、人口の少ない町で、お店の前に行列ができていたのです。
そして、パキスタンカレーがものすごく美味しい。
町内には、同じように教育移住をしたあとに自分で開いたというお店や、小中一貫の公立校や、森のようちえん、「元気が出る」という名前の公園、など、興味をひかれるものがいろいろあったので、散歩をしながら、出会った人にお話しを聞いてまわりました。
僕にとってはめちゃくちゃ新鮮で、魅力的な暮らしをしている人が多く、この佐久穂という町の層の厚さに、僕は震えました。
それをきっかけに、長野県の佐久圏域といわれる地域に足を運ぶうちに、この場所が好きになり、居を構えることにした、というのが、僕が移住をした経緯です。
豊田さんのライフスタイルでとくにユニークなのは、営業は週3日のランチ営業だけに限っているということ。
それは、家族と過ごす時間を大切にするためでもあるし、自分の時間に余白を持つためでもあるといいます。
この考えには、僕もとても共感をしていて、常に片手が空いている状態であるからこそ、目の前に来た面白い波に飛び乗ることもできるし、自分も新しい波を作り出すことができます。
僕自身、豊田さんが作り出した波に乗って遠くまで運ばれてきた一人で、そのおかげで、思いもよらない場所にたどり着きました。
この先もまた、豊田さんが起こす「ご縁」の波に乗る人がたくさん現れるのだろうと思います。
僕がまだ横浜に住んでいて、この先どこに住もうかとあれこれ考えていた頃。
そのときに巡り合った一冊の本で、僕は豊田さん一家のことを知りました。
小さな子どもが3人居ながら、勤めていた会社を辞めて、Iターン移住でカレー屋を始めた豊田さん。
その暮らし方について読み進めるうちに、僕は、イエナプラン教育をおこなう日本初の小学校である大日向小学校のことや、自然豊かな佐久穂町のことを知りました。
実際に佐久穂町を見に行き、カレー屋「ヒゲめがね」の前に行った時の光景に、僕は驚きました。
この、人口の少ない町で、お店の前に行列ができていたのです。
そして、パキスタンカレーがものすごく美味しい。
町内には、同じように教育移住をしたあとに自分で開いたというお店や、小中一貫の公立校や、森のようちえん、「元気が出る」という名前の公園、など、興味をひかれるものがいろいろあったので、散歩をしながら、出会った人にお話しを聞いてまわりました。
僕にとってはめちゃくちゃ新鮮で、魅力的な暮らしをしている人が多く、この佐久穂という町の層の厚さに、僕は震えました。
それをきっかけに、長野県の佐久圏域といわれる地域に足を運ぶうちに、この場所が好きになり、居を構えることにした、というのが、僕が移住をした経緯です。
豊田さんのライフスタイルでとくにユニークなのは、営業は週3日のランチ営業だけに限っているということ。
それは、家族と過ごす時間を大切にするためでもあるし、自分の時間に余白を持つためでもあるといいます。
この考えには、僕もとても共感をしていて、常に片手が空いている状態であるからこそ、目の前に来た面白い波に飛び乗ることもできるし、自分も新しい波を作り出すことができます。
僕自身、豊田さんが作り出した波に乗って遠くまで運ばれてきた一人で、そのおかげで、思いもよらない場所にたどり着きました。
この先もまた、豊田さんが起こす「ご縁」の波に乗る人がたくさん現れるのだろうと思います。














第298話 堀尾寛太
第297話 鴻野祐
第296話 吉崎亜紗子
第295話 古瀬正也
第294話 篠原祐太
第293話 田島由香子
第292話 山崎繭加
第291話 小金沢裕之
第290話 青山光一
第289話 高桑雅弘
第288話 久保田光
第287話 岩上健太郎
第286話 堀場百華
第285話 栗林宏充
第284話 マツダミヒロ
第283話 木下英一
第282話 白井康平
第281話 在賀耕平
第280話 太田泰友
第279話 柄沢忠祐
第278話 鮏川理恵
第277話 伊藤大地・麻里子
第276話 金澤金平
第275話 近谷浩二
第274話 岡田信一
第273話 大野佳祐
第272話 吉田マリア
第271話 齋藤志穂
第270話 富岡直希
第269話 中村尚哉
第268話 塩川浩志
第267話 篠原憲文
第266話 金子久登己
第265話 大島亜耶
第264話 上山光子
第263話 日野秀明・熊谷祐実
第262話 山田貴子
第261話 渡辺正寿
第260話 桑原大輔・あやこ
第259話 田原さやか
第258話 高野慎吾
第257話 安久都智史
第256話 堺大紀
第255話 塚原諒
第254話 鈴木優介
第253話 藤原みちる
第252話 濱野史明
Mike Davis
第250話 松本菜穂
第249話 大竹恭子
第248話 前村達也
第247話 あや
第246話 須田高行
第245話 福原未来
第244話 古谷威一郎・育子
第243話 井出天行
第242話 吉澤希咲子
第241話 竹内真紀子
第240話 熊本敦子
第239話 飯塚悠介
第238話 ハン・クァンソン
第237話 山本勇樹
第236話 吉川徹
第235話 室伏那儀
第234話 石川伸一
第233話 北幸貞
第232話 石田諒
第231話 岡澤浩太郎
第230話 久保礼子
第229話 永富さおり
第228話 Simeon
第227話 吉田岳史
第226話 茂木重幸
第225話 向井朋子
第224話 大槻美菜
第223話 五十嵐昭順
第222話 山川陸
第221話 小林まみ
第220話 木下史朗
第219話 縄
第218話 ナカイ・レイミー
第217話 岩瀬直樹
第216話 カトーコーキ
第215話 服部秀子
第214話 東孝典
第213話 一戸翔太
第212話 柳澤拓道
第211話 りょうか
第210話 安藤雅浩
第209話 篠塚光
第208話 依田昂憲
第207話 森村ゆき
第206話 大北達也
第205話 伊勢修
第204話 中村里子
第203話 柳澤龍
第202話 細川敦子
第201話 山岸直輝
第200話 中澤眞弓
第199話 高野ゆかり
第198話 四登夏希
第197話 森田秀之
第196話 山﨑恭平
第195話 豊田愛子
第194話 金山賢
第193話 坂本正樹
第192話 江原政文
第191話 マツダミヒロ
第190話 おぎわらたけし
第189話 番匠健太
第188話 高塚裕士
第187話 森田藍子
第186話 黒澤世莉
第185話 橘田昌典
第184話 森村茉文
第183話 梶原隆徳
第182話 松本祐樹
第181話 中村元治
第180話 小園拓志
第179話 あらいみか
第178話 麻生沙織
第177話 豊田陽介
第176話 出口治明
第175話 森岡真葵子
第174話 阿部翔太
第173話 多苗尚志
第172話 石井貴士
第171話 田中美妃
第170話 井手剛
第169話 ひらつかけいこ
第168話 住田涼
第167話 松田大夢
第166話 藤田伸一
第165話 田口師永
第164話 大野佳祐/豊田庄吾
第163話 ウサギノネドコ
第162話 小野寺洋毅
第161話 はる@よつば
第160話 森村隆行
第159話 篠原祐太
第158話 ナカムラケンタ
第157話 大野雅子
第156話 クラリスブックス
第155話 紀乃のりこ
第154話 川島優志
第153話 木村孝・真由美
第152話 佐藤明日香
第151話 大槻美菜
第150話 吉村紘一
第149話 森村ゆき
第148話 辰野まどか
第147話 大橋南菜
第146話 アラ若菜
第145話 宮原元美
第144話 源侑輝
第143話 山本慎弥
第142話 熊崎奈緒
第141話 山中思温
第140話 徳永圭子
第139話 木戸寛孝
第138話 上村実生
第137話 吉田秀樹
第136話 平世将夫
第135話 杉なまこ
第134話 田村祐一
第133話 小橋賢児
第132話 竹沢徳剛
第131話 草野ミキ
第130話 藤沢烈
第129話 竹田舞子
第128話 KERA
第127話 石神夏希
第126話 山本恭子
第125話 吉村紘一
第124話 小原響
第123話 小笠原隼人
第122話 鈴木教久
第121話 物井光太朗
第120話 山本大策
第119話 中村真広
第118話 柳澤大輔
第117話 菊池大介
第116話 岩村隆史
第115話 大嶋望
第113話 今井健太郎
第112話 高橋政臣
第111話 栗田尚史
第110話 上村雄高
第108話 野口恒生
第107話 内野徳雄
第106話 森村泰明
第105話 中村洸祐
第104話 竹下羅理崇定部
第103話 田中美和
第102話 本田三佳
第101話 門松崇
第100話 浅見子緒
第099話 たきざわまさかず
第098話 大野佳祐
黄昕雯
第096話 山本達夫
第095話 本田温志
第094話 内田洋平
第093話 沢登理永
第092話 辰野しずか
第091話 マツダミヒロ
第090話 宮坂善晴
第089話 大久保有加
第088話 谷澤裕美
第087話 笠井有紀子
第086話 高杉なつみ
第085話 菅野尚子
第082話 小座間香織
第081話 山口夏海
第080話 藤田伸一
第079話 森田英一
第078話 新井有美
第077話 神田誠
第076話 紺野大輝
第075話 花川雄介
第074話 間庭典子
第073話 木村由利子
第072話 有紀天香
第071話 山崎繭加
第070話 佐藤孝治
第069話 金澤宏明
第068話 山田康平
第067話 西野沙織
第066話 川端利幸
第065話 岩下拓
第064話 清水宣晶
第063話 高橋慶
第062話 山本麻子
第061話 木村孝
第060話 田島由香子
第059話 石井英史
第058話 巻山春菜
第057話 多苗尚志
第056話 梅沢由香里
第054話 西村友恵
第053話 山口絵美
第052話 高木大
第050話 武藤貴宏
第049話 高橋早苗
第047話 清水元承
第046話 貴田真由美
第045話 伊藤敦子
第044話 シミズヨシユキ
第043話 武藤正幸
第042話 木村音詩郎
第041話 中村文則
第040話 野口幸恵
第039話 深森らえる
第038話 貫名洋次
第037話 黒澤世莉
第036話 大澤舞理子
第035話 石井貴士
第034話 高橋章子
第033話 和田麗奈
第029話 佐々木孝仁
第028話 縄手真人
第026話 五十川藍子
第024話 石田直己
第023話 鶴田玲子
第022話 杉原磨都美
第021話 石倉美穂
第020話 工藤妙子
第017話 石井千尋
第016話 見市礁
第013話 滝田佐那子
第012話 岡田真希子
第011話 田中直美
第008話 今西奈美
第006話 もがみたかふみ
第004話 佐藤愛
第003話 岩崎久美
第002話 田中藍
第001話 和田清華
第002回公開インタビュー
第002回ワークショップ
第001回ワークショップ