シミズヨシユキ
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複数のプロジェクトをまたいで活動中。「人と人を結ぶ仕事」をキーワードとして、現在に至る。 トラブル発生時や、困りゴトがあると駆けつける、解決屋さん。 有限会社ズィープロダクション 代表 http://www.z-pro.jp |
(2009年1月 日本橋にて)
人を幸せにする物
(清水宣晶:) ぜっつん(シミズヨシユキ)はやっぱり、物を作るっていうことに興味があって、今の仕事を始めたの?
(シミズヨシユキ:) そうだね。
最初のスタートは、実際に手で触れられるものが好きってことで、それを作るところから始まったんだけど、webの仕事をやるうちに、
だんだんとその、実際に物を作るってところは遠のいてしまっている。
今はあんまり、現場で物を作るってことはないんだ?
ずっと現場から離れているうちに、自分自身の技術は落ちてしまっているから。
それよりは、作る技術がある人をサポートするっていう方に、役割が変わってきてるね。
もともと、webじゃなくて、
形があるものとか、触れるものに興味があった?
始めはデザイナー志望じゃなくて。
きっかけは車だったんだよ。
車の開発をやりたい、って思って。
車の開発ってのは、デザインとはまた違うんだ?
見える部分じゃなくて、エンジンとか、内側のほう。
なんだけど、理数系の大学ってハードルが高くてさ。
でも、なんとか車の開発に関わりたいって思って、進んだのがデザインの道だった。
なんで車に興味を惹かれたんだろう?
物が人を幸せにする、ってことにつながってると思ったんだね。
車って、中に人を乗せるものだし、
街の中にあって、周りっからも見えるものだし。
たしかに、人と関わる時間が長い物だよね。
車って、下から見ると、意外にみんな一緒なんだよ。
下って・・「真下」からってこと?
そうそう。
ミニカーひっくり返すとわかるんだけどさ。
どれも、四角くて、タイヤが4つあって。
(笑)そりゃそうだろ!
そこに、車の限界を感じたんだよね。
なんか、「あれー?」って。
で、車にあんまり思い入れがなくなって。
ぶはははははは!
そこで見切りをつけたんだ!?
今でも、趣味としては好きなんだけどね。
その先に未来が、、ってところが、なんか打ち消されちゃって。
舞台裏を見ちゃったみたいな
空しさを感じたのかもね。
作品が残るという責任
で、車じゃなくて、なんかもっと身近なものってことで。たまたま、その時、大学で手にしてたのが、
ハンドメイドのクラフトだったんけど。
素材はどんなやつ?
木材とか金属とか。
漆の工芸もあった。
とにかく、自分で作った物に触れられるってことが嬉しくて。
それはわかるな。
具体的な物があって、誰かに直接渡したり出来るものって楽しいよね。
うん。それと同時に思ったのは、
僕が、このコップを作ったとして。
作った後に交通事故で死んでしまったとするじゃない?
だけど、この「作品」は残っているじゃない。
その責任。
おお!
うんうん。
それは今でもそうなんだけど、
自分がこの世から亡くなったとしても、責任を持てるかって考えた時に、
それからものづくりについて真剣に悩むようになって。
生み出したものがしっかり成り立ってないといけないと。
なるほどなあ。
そこまでの物を作れないのであれば作っちゃいけない、とも思っていて。
今、自分が制作の場から離れているっていうのは、そういう理由もある。
ん?
というと?
今は、自分自身が作って、責任が持てるだけのものを作れる自信がないっていう。
中途半端なものを残せないっていう意識がどうしても働いちゃうから。
ものづくりのほうに行っちゃうと、
とことん突っ走っちゃうってことか。
うん、やるなら山ごもりになっちゃうよね。
だから、たとえば陶器を作るなら、
最高の陶芸家を呼んで、作ってもらいたいって思うようになった。
みずから作る代わりに、
その人に、自分のイメージを伝えて、ってことだね。
そうそう。
「こういうシチュエーションで、こういう人が使うんだけど」ってことを説明して、
で、さらにそこにその人自身のノウハウとか、蓄積してきたものが入ってきてさ。
僕の想像以上のものが出来上がる可能性がある。
わかるわかる。
自分だけで完結してしまうと、自分の幅を超えたところには絶対にいかないからね。
そのほうが、世の中にとっていい物である可能性も高くなるじゃない。
で、そういう投げかけをしていく人は必要だろうと思うから、
今は、自分は、そういう役割になったんだろうなと思ってる。
作る人と使う人の橋渡しをする、
仲介役みたいな感じだね。
そう。
そのためには、自分がいいと思ったものを、
他の人に伝わる形で説明するっていうことが大切だと思っていて。
うんうん。
たとえば、このコップのことを説明するのに、
今までだったら、ヴィトンのブランドです、とかって言えばみんな買ってたかもしれないけど、それって本来の良さを全然伝えきれていないじゃない?
そこをどう伝えていくかっていう、情報の伝え方は考えるべきと思うんだよね。
オレはね、物語があるものって伝わりやすいと思ってる。
ある製品を作るまでにどういうプロセスがあって、どういう想いが込められてるのかっていうところが相手の心に響くと、本当に好きになるんじゃないかな。
それで思い出した話しなんだけど、ニューヨークのエリート金融マンの間で、倉庫を家に改装して住むのがステータスだったんだって。
それがいつ出来た倉庫で、どういう品物を扱って、アメリカに対してこれだけ莫大な利益を生み出した倉庫なんだ、っていうことを、家に招待した人たちに説明する、っていう。
そういうストーリーまで込みで、不動産屋が倉庫を売ってるんだな。
アメリカ人ってそういうところに燃えるのかもね。
シリコンバレーで起業するような人も、ただ儲けるってだけじゃなくて、
いかにカッコよく会社を作るかっていう物語にこだわってる人が多い気がするな。
今と昔とこれから
「転職してスキルがアップする」ってよく聞くけどさ、どう思う?
それは、メディアとか、就職業界が作った幻想じゃないかって思うな。
普通に考えたら、単に転職しただけだったらスキルは下がるよね。
スキルを積むために会社を辞めます、っていう人が最近多くて。
矛盾してると思うんだけどね。
あと、自分がやりたいことが会社と違うので、申し訳ないから辞めます、っていう。
なんとなく思うのは、
悩みがあった時、少しずつ解決するんじゃなくて、リセットするように一気にやり直したくなっちゃうんじゃないかな。
辞めないで、その場でがんばるほうがリスクは少ないんじゃないかって思うけどね。
俺たちの時と今とでは、感覚が違うのかな。
でもそれは、いつの時代も言われてきたことかもしれないけどね。
ああ、「最近の若いモンは・・」ってやつね。
そうそう!
「最近の若者は・・」って嘆いた日記が、
大昔の粘土板にも刻まれてるっていうじゃない。
(笑)そういうよね。
人類に普遍的なボヤきなんだな。
少年ジャンプとかもさ、
「オレたちが子供の時はあんなに面白かったのに、今はこんなにレベルが下がっちゃって・・」とか思うけど、実はきっと、昔と大して変わってないんだよね。
自分の視点が大人になっちゃったっていうだけで。
そうなんだろうね。
あと、今ってさ、ホントに景気悪いのかな?
オレはね、
言うほど悪くないんじゃないかって思う。
言うほど悪くないよね?
不景気だってみんなが言ってるっていうそのことのせいで、
悪くなってるところあると思うよ。
そう、悪循環だよね。
そういう雰囲気だとみんな、
新しいことに挑戦するのは止めとこう、ってことになるし。
身をもって、「そんなに悪くないんだ」ってことを
実証する人が増えれば、その循環も止まるんじゃないかな。
意外と未来は明るいんじゃないかって思うよね。
俺はそんな気がしてる。
(2009年1月 日本橋にて)
【清水宣晶からの紹介】
ぜっつんと話していると、話しがどんどんと広がっていって、もともとの話しが何だったかわからないぐらい遠く離れたところにたどり着くことがよくある。
でも、会話の面白さというのはそういうところにあって、僕自身まったく想像もしていなかったようなところに運ばれていく、彼との話しの中では予想外の創発が生まれることも多い。
今回も、話しをしながら、そのほとんどの部分はとりとめのないおしゃべりという感じで、コーヒー一杯を注文しただけで、そのままずっと喫茶店に居座り続けてしまいそうな心地良さがあった。
しかし、その中でも、やはり物作りということに対してのぜっつんの思い入れは際立ったものがあって、そのテーマについてだけは、常に変わらず一貫したポリシーを持ち続けているということがわかる。
この、柔らかさと硬さのバランスはぜっつんの大きな特徴で、その絶妙さゆえに、彼にしか解決出来ない問題や仕事というのがこの世のあちこちに生まれる。そこらじゅうに落ちている面白い部分にいつも目をつけている彼にとってはたしかに、不景気というのは最も縁のない出来事に違いない。
ぜっつんと話していると、話しがどんどんと広がっていって、もともとの話しが何だったかわからないぐらい遠く離れたところにたどり着くことがよくある。
でも、会話の面白さというのはそういうところにあって、僕自身まったく想像もしていなかったようなところに運ばれていく、彼との話しの中では予想外の創発が生まれることも多い。
今回も、話しをしながら、そのほとんどの部分はとりとめのないおしゃべりという感じで、コーヒー一杯を注文しただけで、そのままずっと喫茶店に居座り続けてしまいそうな心地良さがあった。
しかし、その中でも、やはり物作りということに対してのぜっつんの思い入れは際立ったものがあって、そのテーマについてだけは、常に変わらず一貫したポリシーを持ち続けているということがわかる。
この、柔らかさと硬さのバランスはぜっつんの大きな特徴で、その絶妙さゆえに、彼にしか解決出来ない問題や仕事というのがこの世のあちこちに生まれる。そこらじゅうに落ちている面白い部分にいつも目をつけている彼にとってはたしかに、不景気というのは最も縁のない出来事に違いない。















第298話 鴻野祐
第297話 吉崎亜紗子
第296話 古瀬正也
第295話 篠原祐太
第294話 田島由香子
第293話 山崎繭加
第292話 小金沢裕之
第291話 青山光一
第290話 高桑雅弘
第289話 久保田光
第288話 岩上健太郎
第287話 堀場百華
第286話 栗林宏充
第285話 マツダミヒロ
第284話 木下英一
第283話 白井康平
第282話 在賀耕平
第281話 太田泰友
第280話 柄沢忠祐
第279話 鮏川理恵
第278話 伊藤大地・麻里子
第277話 金澤金平
第276話 近谷浩二
第275話 岡田信一
第274話 大野佳祐
第273話 吉田マリア
第272話 齋藤志穂
第271話 富岡直希
第270話 中村尚哉
第269話 塩川浩志
第268話 篠原憲文
第267話 金子久登己
第266話 大島亜耶
第265話 上山光子
第264話 日野秀明・熊谷祐実
第263話 山田貴子
第262話 渡辺正寿
第261話 桑原大輔・あやこ
第260話 田原さやか
第259話 高野慎吾
第258話 安久都智史
第257話 堺大紀
第256話 塚原諒
第255話 鈴木優介
第254話 藤原みちる
第253話 濱野史明
Mike Davis
第251話 松本菜穂
第250話 大竹恭子
第249話 前村達也
第248話 あや
第247話 須田高行
第246話 福原未来
第245話 古谷威一郎・育子
第244話 井出天行
第243話 吉澤希咲子
第242話 竹内真紀子
第241話 熊本敦子
第240話 飯塚悠介
第239話 ハン・クァンソン
第238話 山本勇樹
第237話 吉川徹
第236話 室伏那儀
第235話 石川伸一
第234話 北幸貞
第233話 石田諒
第232話 岡澤浩太郎
第231話 久保礼子
第230話 永富さおり
第229話 Simeon
第228話 吉田岳史
第227話 茂木重幸
第226話 向井朋子
第225話 大槻美菜
第224話 五十嵐昭順
第223話 山川陸
第222話 小林まみ
第221話 木下史朗
第220話 縄
第219話 ナカイ・レイミー
第218話 岩瀬直樹
第217話 カトーコーキ
第216話 服部秀子
第215話 東孝典
第214話 一戸翔太
第213話 柳澤拓道
第212話 りょうか
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第209話 依田昂憲
第208話 森村ゆき
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第200話 高野ゆかり
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第195話 金山賢
第194話 坂本正樹
第193話 江原政文
第192話 マツダミヒロ
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第163話 小野寺洋毅
第162話 はる@よつば
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第152話 大槻美菜
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第149話 辰野まどか
第148話 大橋南菜
第147話 アラ若菜
第146話 宮原元美
第145話 源侑輝
第144話 山本慎弥
第143話 熊崎奈緒
第142話 山中思温
第141話 徳永圭子
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第139話 上村実生
第138話 吉田秀樹
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第136話 杉なまこ
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第132話 草野ミキ
第131話 藤沢烈
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第126話 吉村紘一
第125話 小原響
第124話 小笠原隼人
第123話 鈴木教久
第122話 物井光太朗
第121話 山本大策
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第116話 大嶋望
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第113話 高橋政臣
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第111話 上村雄高
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黄昕雯
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第047話 貴田真由美
第046話 伊藤敦子
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第043話 木村音詩郎
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